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こだわり派の消費者に人気!その地域だから再現できる美味しさが詰まった「ブランド野菜」とは

ブランド野菜とは、例えば「夕張メロン」といったように、ネーミングに地域名が含まれていて、その地域独自の生産方法や特徴的な味わいなどの付加価値を持った、まさにブランド力のある野菜のことです。

今回は、この「ブランド野菜」について、その定義や認定制度の目的と効果、国内にはどんな種類があるのか…などを具体例も交えてご紹介します。消費者と生産者、両方の観点から「ブランド野菜」の魅力を紐解いていきましょう。

目次

ブランド野菜の定義

農作物のブランド化はこれまで、各地域の行政や農業団体などによって独自に進められてきましたが、現在は農林水産省の「地理的表示保護制度」への登録がブランド野菜として認知される一つの基準になっています。

地理的表示保護制度とは?

地理的表示保護制度とは、伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地等の特性が、品質等の特性に結びついている産品の名称を知的財産として登録し保護する制度のことです。

(農林水産省HPより  https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/

2015年6月に制定された「地理的表示保護制度」では、特定の産品を生産地とともに登録することで、基準を満たす産品のみが「地理的表示」を使用できるようになり、産品の名称が地域共有の財産として保護されます。地理的表示は1900年初頭にヨーロッパで創設されました。

また、TRIPS協定(WTO協定の附属書の一つ)においても知的財産の1つとして位置付けられ、世界100ヵ国を超える国で保護されています。

地理的表示保護制度への登録は、生産事業者自身のみでは申請ができません。申請には、ブランド協議会などの団体での手続きが必須です。

しかし、「登録後には不正表示の管理は行政が取り締まってくれる」「国同士で制度の相互保護が成立すれば海外での保護も有効となる」などのメリットがあります。

地理的表示保護制度に登録すると、GIマークという登録標章を使用できるようになります。GIマークの有無で、ブランド野菜か否かを消費者は一目で判断できます。

ブランド野菜の種類

地理的表示保護制度には、40都道府県の104産品、海外2ヵ国の2産の合計106産品が登録されています(令和3年3月12日時点)。登録品は、野菜や果物だけに限らず、油や調味料などの加工食品、観賞用の植物や工芸用農作物も含まれています。
ここからは、具体的にブランド野菜の種類と特徴を紹介していきましょう。

1)夕張メロン

国内のブランド野菜の中でも有数の知名度を誇る、夕張メロン。地理的表示保護制度の開始以来、初めての登録となった7品目のうちの一つとして2015年12月に登録されました。ちなみに、北海道では初の登録品でした。

夕張メロンの特徴は、オレンジ色で柔らかくジューシーな果肉。芳醇な香りの夕張キングという品種では、糖度10度以上が出荷の基準となっています。

現在夕張市となっている夕張メロンの産地では、かつてからメロンの栽培が試みられてきましたが、戦争の激化によりメロン栽培は途絶え、戦後も雑穀や一般野菜の農業に比重が傾いていました。そんな中、農業収入によって生計を立てるため、狭い地形の中で収益性の高い農作物をと再注目されたのが、メロン。その後も、生産組合と農協が一体となって栽培から出荷までを強化、道内・国内でも代表的なメロン産地へと夕張市を押し上げたのです。

地理的表示保護制度の施行以前にも、地域の農協では夕張メロンのブランド力を守ろうと商標を登録してきましたが、模倣品に対する保護がより強固となる同制度の確立とともに、真っ先に名乗りをあげるに至ったといいます。

GI登録後は、生産者のブランド意識の向上へと繋がったほか、海外での模倣品の不正流通の差し止めにも効果が現れています。

2)吉川ナス

福井県の吉川ナスは、2016年7月に地理的表示保護制度に登録されました。吉川ナスは、かつて吉川村と呼ばれていた地域(現在の鯖江市西部)で古くから栽培されてきた丸ナスで、一説によると100年以上もの歴史があると言われています。地域の伝統野菜でしたが、栽培者が減少し、2010年には1世帯のみの生産となり、年間300個ほどしか作られないようになってしまいました。吉川ナスの消滅を防ぐため、鯖江市伝統野菜栽培研究会が発足。地理的表示保護制度への登録で、吉川ナスのブランド化と生産者の増加に取り組んでいます。2018年には、生産者は16名にまで増え、年間の生産量もおよそ2万3000個にまで増加しました。

3)市田柿

地理的表示保護制度への登録によって、国内外での取引が増えたケースもあります。長野県下伊那郡高森町(旧市田村)で生産されている干し柿、市田柿もその一つです。

市田柿は、市田村発祥の品種「市田柿」のみを使用し、干し柿を作る工程でしっかり揉みこむという伝統的な製法で作られます。表面はきめ細やかな白い粉化粧で覆われ、内部は綺麗な飴色。糖度が高く、もっちりとした食感も市田柿の特徴となっています。美味しさの秘訣は、朝晩にかけての寒暖差で高糖度の原料の柿が生産できることと、干す作業が行われる晩秋から初冬に発生する川霧によって干し柿にとって絶好の温度と湿度が揃うという、生産地域特有の2つの環境が要因となっています。

2016年にGI登録し、翌年の2017年度の輸出額は1億1700万円に増額。これは前年比の1.8倍にも及びました。

4)大鰐温泉もやし

2020年3月30日に地理的表示保護制度へ登録された、大鰐温泉もやし。30㎝以上もの長さがある大鰐温泉もやしは、一般的なもやしとは見た目からして一線を画しています。栽培方法は江戸時代から引き継がれてきたと言われており、青森県の大鰐町にある大鰐温泉の温泉熱と温泉水を活用して土耕栽培されます。味わいが濃く、甘みが強いことと、シャキシャキした食感が特徴で、消費者や料理人からも高い評価を得ています。これまで栽培技術が世襲制だったため後継者不足が懸念されていましたが、GI登録に合わせて新規就農の窓口が広がり、生産が維持されるようになりました。

生産者から見たブランド野菜の魅力

地域を代表するブランド野菜が生産・販売されれば、大きな地域資源となります。また、市場では地域名が表示されて販売されるので、産品だけでなく地域自体のPRにつながります。さらに、生産物を加工させて地域の飲食店で提供したり、生産物をイメージしたキャラクターを創造したり…と、観光誘客にも発展が可能です。加えて、地理的表示保護制度の具体例でも記述したように、模倣品の排除で付加価値が強まる、担い手・生産者の増加や意識の向上、販路の拡大や売上増収といった効果も期待できます。

消費者から見たブランド野菜の魅力

国公認のGIマークが表示されることで、産地が明確になり、購入に対して安心感が生まれます。また、ブランド野菜とそうでない野菜との比較ができ、購入の際に選ぶ基準にもなります。さらに、生産地域にまで目を向ければ、その地域の気候や文化を学べ、食に関する知識を増やしていくこともできますね。

今回ご紹介した地理的表示保護制度に登録されているブランド野菜は、ほんの一部です。全ての登録品は、農林水産省のHPにも記載がありますので、ぜひご参照ください。

どこでどんな方法で育ったのか、どんな文化が隠れているのかを伝えることで野菜の付加価値を強めている、ブランド野菜。これからも更なるブランド野菜が誕生していくことでしょう。その地域でしかできない栽培方法で生まれる特別な味わいに、皆さんも着目してみてくださいね。

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