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「遺伝子組換え技術」は誰がため?食品表示の裏側とメリット・デメリット

21世紀以降、大豆製品などの食品表示で広く知られるようになった遺伝子組換え技術。「食べても安全か、それとも危険か?」を問う以前に気づけば日常に入り込んでいるイメージから、モンスター的な嫌悪感を抱く消費者は少なくありません。 人類がDNAを操作する“神技”のような能力を持ったことにより、私たちの健康やとりまく環境はどのように変わっていくのか。 遺伝子組換えとは夢の技術なのか、はたまた人間破壊のモンスターなのか?

この記事で明らかにしていきたいのは、以下の主要な点についてです。

  • 「遺伝子組換え」の現状について
  • 「遺伝子組換え食品」の安全性と問題点
  • 「遺伝子組換え」の合理性とベネフィット
  • 「遺伝子組換え」と食品表示の裏側
  • 「遺伝子組換え」以前の本質的な問いかけ
目次

遺伝子組換え(GM)とは、どんな技術か?

遺伝子組換え(genetically modified)は品種改良の一種で、「種の壁」を越えた交配を行い、生命を人為的に改変する技術のことです。具体的には、ある植物に有用な性質を持たせる目的で、動物や昆虫から特定の遺伝子だけを移し替える事例などが挙げられます。自然界では起こり得ないこれらの遺伝子操作によって、正確性と需要に見合った性質が付加された新しい品種ができるのが特徴です。 遺伝子とはそもそも、DNA(deoxyribonucleic acid=デオキシリボ核酸)と同じ意味で使われやすい言葉ですが、両者の違いは何でしょうか? 簡単に区別すると、

  • DNA=遺伝子情報を格納している「化学物質」
  • 遺伝子=固有の性質を発現させるための「情報(機能)」

となります。

あるいは、DNAを「生命全体の青図面」とするならば、遺伝子は体内で「タンパク質(機能)を合成するための設計図」に例えられています(DNAのうち遺伝子以外の仕組みについては、多くが解き明かされていません)。

タンパク質は複数のアミノ酸が結合してできた物質で、あらゆる生命活動を維持するために不可欠な機能です。 そのタンパク質の機能こそが、生物固有の性質を特徴づけているため、タンパク質の設計図である遺伝子を操作することは、動植物(または品種)の生命を操作するのと同義といえます。

ココが違う!遺伝子組換え・品種改良・ゲノム編集

遺伝子組換えと同列に論じられやすいのが、「品種改良」と「ゲノム編集」です。以下では、これらを比較対象としながら、遺伝子組換え技術の本質を浮き彫りにしていくものとします。

①「品種改良」と遺伝子組換え

品種改良では異なる品種間での交配に限定されるのに対し、遺伝子組換えは生物種の垣根を越えた遺伝子の移し替えが可能です。

農耕とは品種改良の歴史といっても差し支えがなく、作物をより優れた品種とするため、途方もない時間をかけて意図的に遺伝子を掛け合わせる手法がとられてきました。

「より美味しく、たくさんの作物を効率良く収穫する」ニーズに応じて、おしべとめしべの交配から優良な組み合わせを選抜し続けてきたのです。

品種改良にはそれらの交雑育種法のほかに、放射線や薬品などを使って人為的に突然変異を促す方法もあります。

このように従来の品種改良においても、異種交配によって遺伝子の組換えは数え切れないほど起きていると捉えることができます。

②「ゲノム編集」と遺伝子組換え

ゲノム編集がもともと生物に備わっている性質を狙って変化させるのに対し、遺伝子組換えは新しい遺伝子を外部から付加する技術です。

ゲノム(genome)とは端的にいうと、「遺伝子(gene)」と「集合(-ome)」を合わせた言葉で、遺伝子情報の全体を意味しています。

非常にざっくりと説明するのなら、

  • DNA=物質
  • 遺伝子=機能
  • ゲノム=領域

として、それぞれの役割を捉えることが可能です。

ゲノム編集は、DNA配列を意図通りに書き換える技術で、狙った遺伝子にのみ突然変異を起こすことができます。

品種改良のような長い期間や費用、技術、労力をかけずに商用栽培が行えるため、今後は新しい機能性成分を持ったゲノム編集食品が多数開発されるかもしれません。 ゲノム編集と遺伝子組換えに関しては現在、法的に両者の違いを明確にするか否かの議論が分かれているところです。

いずれにしても個々の栽培環境を厳密に管理する必要がありますが、未来の農業生産における形式を大きく変える可能性を秘めています。

遺伝子組換えのメリット・デメリット

遺伝子組換えの農業・環境問題面にさらなる焦点を当て、技術を享受するメリット・デメリットを挙げていきます。

メリット①:農作業の省力・低コスト化を実現

例えば、とある生物種の中から除草剤耐性などの目的に見合った遺伝子を、改良したい品種の細胞内に組み込むとします。すると、結果的に除草剤では壊れないタンパク質の情報(機能)を引き継ぐこととなり、数多くの作物を枯らさずに収穫できるようになります。そのほかにも、害虫・ウイルス抵抗性や暑さ耐性、塩害や冷害などに強い品種の開発が進めば、安定的に作物を供給できるようになることが大きな利点です。

メリット②:低農薬・高機能な食品を摂ることができる

遺伝子組換えによって作物をより美味しくしたり、高栄養価や低アレルゲン性などの特定の付加価値を生んだりすることが可能になります。その結果、生活習慣病や食品アレルギーに悩む方へ解決案を提示できるほか、栄養不足の改善や病気予防にも役立てられます。害虫に強い作物が生産されれば農薬の使用を低減できることも、安全性の問題を1つ打ち消すことになりそうです。

メリット③:世界的な飢餓の解消や環境保全につながる

気候変動や人口増加による将来的な食糧不足が懸念されていますが、遺伝子組換えが課題解決の一旦を担うかもしれません。干ばつや凶作、天然資源の枯渇が予測される中でも、遺伝子組換え技術はそれらの影響を緩和し、食糧を増産することが可能です。また、化学薬品の使用を減らすことができれば、生態系の保全や水質の浄化が見込めるメリットも強調されています。

デメリット①:安全性が統計的・疫学的に確立されていない

遺伝子組換え作物(GMO)の安全性については賛否両論があり、特に海外での健康被害を論じる声が高まっています。異種の遺伝子が引き起こす未知のリスクが疑問視される中、長期間GMOを摂取することや次世代への影響に関して不安が高まっている状態です。 新たな毒性やアレルギー発現への懸念については、厚生労働省が「実質的同等性」という評価基準を発表しています。 が、それは「既存の食品と比較して、新しい遺伝子以外の性質に変化がなければ実質的に同じものと見なす」という意味のものです。組み込まれた遺伝子から新たに合成されるタンパク質が、間接的にどのように作用するかについては今後も総合的な判断を必要とします。

デメリット②:遺伝子汚染による環境への影響が予測できない

遺伝子組換え植物の花粉が飛散し、その他の野生種との交雑が起こることで、遺伝子が流動するおそれがあります。遺伝子汚染による生態系への影響は未知数であり、雑草と交雑した場合に生じるスーパー雑草などが例として挙げられます。耐性の強い外来種が在来種に打ち勝ってしまうように、外来遺伝子が拡散することの危険性もまた不透明です。

デメリット③:科学とは異なる多方面での問題がある

遺伝子組換えに対する反発は、倫理的・経済的・宗教的な観点からも沸き起こっています。とりわけ科学に還元できない生命倫理の問題や、宗教上の制約からの反論が多いようです。かつての遺伝子改変によって、光る熱帯魚や筋肉が異常発達した牛、毛のない鶏などが生み出されたことへの嫌悪感は否めません。 これらの処置が偏った人間本位の立場から、驚異的なスピードで行われていくことは生命への冒涜と考えられています。また、遺伝子組換え技術は大型産業と結びつきやすく、公平性を欠いた事業が経済格差を大きくしてしまう未来も懸念されています。

遺伝子組み替えのメリット・デメリットまとめ

メリットデメリット
農作業の省力・低コスト化を実現
低農薬・高機能な食品を摂ることができる
世界的な飢餓の解消や環境保全につながる
安全性が統計的・疫学的に確立されていない
遺伝子汚染による環境への影響が予測できない
科学とは異なる多方面での問題がある

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日本は遺伝子組換え大国?食品表示の裏側

遺伝子組換え作物への漠然とした不信感は、消費者側がそれらを選ぶ以前に、否応なく食卓に居座っていることに大きな要因があります。 つまり、私たちは遺伝子組換え食品を無知な状態のまま食べさせられてきた、といえるのです。 それには食品表示制度のカラクリが関係しており、「遺伝子組換えでない」と任意で書かれているのは一部の加工品に過ぎません。日本の場合、遺伝子組換えの表示が義務づけられているのは、以下の8作物33食品群のみです。

遺伝子組み換えの表示義務対象品目

対象農産物(8作物)加工食品(33食品群)
大豆(枝豆、大豆もやしを含む)豆腐類・油揚げ類凍り豆腐・おから・ゆば納豆豆乳類みそ大豆煮豆大豆缶詰・大豆瓶詰きな粉大豆入り豆1から9を主な原材料とするもの調理用の大豆を主な原材料とするもの大豆粉を主な原材料とするもの大豆たんぱくを主な原材料とするもの枝豆を主な原材料とするもの大豆もやしを主な原材料とするもの
とうもろこしコーンスナック菓子コーンスターチポップコーン冷凍とうもろこしとうもろこし缶詰・とうもろこし瓶詰21コーンフラワーを主な原材料とするもの22コーングリッツを主な原材料とするもの(コーンフレークを除く)23調理用のとうもろこしを主な原材料とするもの2416から20を主な原材料とするもの
ばれいしょ25ポテトスナック菓子26乾燥ばれいしょ27乾燥ばれいしょ28ばれいしょでん粉2925から28までに掲げるものを主な原材料とするもの30ばれいしょ(調理用)を主な原材料とするもの
菜種
綿実
アルファルファ㉛アルファルファを主な原材料とするもの
てん菜㉜調理用のてん菜を主な原材料とするもの
パパイヤ㉝パパイヤを主な原材料とするもの

出典:消費者庁公式サイト「遺伝子組換え食品の表示義務

例えば大豆製品を例に見ると、豆腐や納豆などには表示が義務づけられていますが、醤油や大豆油には記載の必要がありません。表示義務があるのは、原材料表示の上位3品目と、食品重量全体の5%以上に及ぶものに限定されています。

反対に生産や流通の過程で、遺伝子組換え作物が5%ほど混入することは放任されています。 また、日本では遺伝子組換え作物を商業栽培していませんが、輸入品の多くは遺伝子組換え作物の可能性があり、品目によってはその表示を免れているかもしれません。日本人の約8割(※1)が「遺伝子組換え食品を避けたい」としている上に、それらを選んでいる実感もありませんが、輸入大国である日本は世界で最も遺伝子組換え作物を摂っている国だと考えられています。

遺伝子組換えの本質的な問題=進化論?

生物進化の要因としては現在、ダーウィンの自然選択説をはじめ、中立進化説、生存競争、突然変異など、さまざまな議論が交わされています。遺伝子組換えもまた、進化の歴史に人の手が入っている状態と捉えられますが、はたして自然と共生できる技術なのでしょうか?

私たちはダーウィンの主張を「弱肉強食の論理」と理解しがちですが、それとはまったく反対に「相互扶助=共生」が進化の法則とする見方もあります。 例としては、マメ科植物と根粒菌は土の中で窒素固定と呼ばれる働きを通じ、互いを生かし合う関係を築いています。 もしも2種以上の生物が、環境に応じて利益を与え合い、発展することが進化の根本要因であるのなら、遺伝子組換え技術はそれと真逆の方向にあるといえそうです。

後記

2019年時点での、世界における遺伝子組換え作物の栽培面積は、1億9,040万ヘクタールでした(※2)。これは全世界の農地のおよそ14%を占め、過去20年間で約100倍にまで拡大していることになります。目にも留まらぬ速さで技術革新が行われていますが、生命に対する見方までが機械論的になっていないか、改めて議論してみる必要がありそうです。


(※1)出典:消費者庁「遺伝子組換え食品に関する消費者意向調査の概要」 (※2)出典:国際アグリバイオ事業団(ISAAA) https://www.isaaa.org/resources/publications/briefs/55/pressrelease/pdf/B55-PressRelease-English.pdf

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