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ワインは生き物〜LES VINS VIVANTS(レヴァンヴィヴァン) インタビュー

長野県東御市でLES VINS VIVANTS (以下レヴァンヴィヴァン)という名でワイナリーを営んでいる荻野さんご夫婦は、自然派ワイン・シードルという、農薬を一切使わない栽培方法によるワイン・シードルを醸造しています。
荻野貴博さんは山梨県出身、奥様は北海道出身で、東京のオザミワールドグループのレストランで知り合い、自然派ワインの魅力に惹かれていったとのことです。
現在、ワインのリリースはされていませんが、今年2種類のシードルをリリースしたレヴァンヴィヴァンさん。
そんなレヴァンヴィヴァンの荻野さんに、今回インタビューしました。

目次

レヴァンヴィヴァンのシードル

現在2種類のシードルをリリースされています。

あお(トップ写真左)

名称:シードル2019 あお
品種構成:晩生種(サンフジ)70〜80%と中生種20〜30%
特徴:柔らかい口当たりとサンフジ特有の旨味、コクのあるシードル。

みずいろ(トップ写真右)

名称:シードル2019 みずいろ
品種構成:晩生種(サンフジ)と中生種が50%ずつ
特徴:柔らかい口当たりと爽やかな酸味が心地よいすっきりとしたシードル。

荻野さんについて

ーーいつごろから農業やワインというものに興味を持たれたのですか?

僕の実家が山梨で、その実家の目の前がワイン用のぶどう畑だったんです。そして、歩いて数秒のところにワイナリーがあったりして、子供の頃からそういう環境にはいたんですよね。あと、両親も僕自身もお酒が好きというのがあり、お酒の世界にはいきたいなと思っていました。
なので、最初はソムリエになろうと思っていたんです。
そこで山梨にいるよりは東京で勉強した方が良いと思い、オザミワールドというレストラングループに入りました。ただ、ソムリエを目指しているうちにあまりサービスに向いていないと思い、作り手の道を目指すようになりました。
自然派ワインを扱うお店だったので、その頃からそういうワインが美味しいとずっと思っていて、「自分たちで作るのであればこういうワインだよね」ということで自然派ワインを作るに至りました。

ーー美味しいと感じたからこういうワインを作りたいと思うようになったとおっしゃっていましたが、自然派ワインを作ろうと思ったきっかけはそこが一番強いですか?

そうですね、あとは自然派ワインを作っているワイナリーが日本では少ないので、そういう意味でも作ろうと思いました。そうは言っても僕はワイン作りの経験がなかったので、オザミワールドを辞めたあと、ワイナリーで修行も兼ねて働いていました。しかしやっぱり、自分たちで美味しい自然派ワインを作りたいと思い、ワイナリーを開業するに至りました。

オザミワールドを辞めたあと、山梨県の中央葡萄酒で5年半働き、そのあとすこしフランスに行っていました。自然派ワインはフランスが本場なので、どうしてもそこの作りを見たかったんです。ワイナリーを辞めたのが8月で、それから渡仏してなんとかその年の醸造は見ることができましたので、本当に良い経験になりました。

自然派ワインの魅力

ーー自然派ワインのどんなところに魅力を感じましたか?

飲み心地が本当にいいですね。
優しい味わいで、体にすーっと入ってきます。
あとは結構変化が楽しめるんですよね。
一回開けたら長いものだと1週間とか2週間かけて変化します。イメージ的に開けたらすぐ飲んでしまわなきゃと思われる方もいると思うんですけど、時間が経った方が美味しくなることもあるんですよね。そういうのが自然派ワインの面白さかなと思います。

自然派ワインにかける思い

ーー自然派ワインは、通常のワインに比べると栽培基準などが厳しかったりすると思いますが、それでも自然派ワインが作りたいと思いましたか?

作りたいワインというのが見えているので、そこに向かって、本来教科書的にいえばやらなきゃいけないことなどを省いています。化学的な農薬や除草剤、殺虫剤などは使わずに、本当にこれ必要なのかな?という感じで進めています。全てワインのためにそういうことをやっているので、農薬や肥料を撒けばブドウの木もすぐに大きくなると思うのですが、自分たちはそういうことをやりたくないので、時間がかかってもそういう方法でやっています。

ーー極力自然に沿ったワインを作りたいということですか?

はい、畑においても醸造においてもできるだけ人の手をかけずにやるようなワイン作りを目指しています。

レヴァンヴィヴァンのワイナリーの前

ーーなぜ東御市を選ばれたのですか?

一番は、ワイン特区で少量の栽培から免許がおりて開業できるという点です。そのほかにはやはり日照条件と気象条件ですね。
僕は山梨県出身で、山梨で働いていたこともありますが、僕たちが植えたいと思っていた品種は山梨だと少し暑すぎるんです。
ずっと東御市に住んでいる人からするとここ数年で暑くなったというのですが、それでも僕らからしてみれば全然違いますね。東御市は日中と夜で寒暖の差があり、特に夜の気温が下がるというのはぶどうにとって本当に良いことなので、それも選んだ理由になります。

レヴァンヴィヴァンの栽培品種

ーー栽培品種について教えてください。

品種でいえば、赤はピノノワールとガメイという品種です。
白は、シュナンブラン、リースリングとシャルドネの計5種類になります。
私たちはガメイやピノノワールが好きで、自分たちが好きじゃない品種をやっても続かないかなと思い、好きなものしかやっていないですね。ただガメイに関しては、扱っている苗屋さんが少ないので商品化するのに時間がかかって、全然植えられないんですよね。好きな品種なので一番多くやりたいんですけど、苗が全然ないというような状況ですね。

通常のワインと、自然派ワインの違い〜同じ品種でどう違うか

ナチュラルなガメイって本当に美味しいんですよ。
同じ品種でも、醸造方法によって出来上がりが異なるんです。
発酵させるにも、普通のところだと培養酵母といって、業者さんから提供してもらう乾燥された酵母を添加します。うちの場合はそういう培養酵母は使いません。ぶどうって潰せば勝手に発酵が始まるので、その自然の力を使ってやっているんです。そうすると味わいが全然違います。
ほかには亜硫酸というものがありますが、これはいわゆる酸化防止剤としての役目や雑菌を抑える効果があるので、大体のワインには入れます。
しかし自然派ワインですと、入れていないか、ほんの少量しか入れません。そうすると飲み心地が本当に変わってくるんです。
長期熟成のワインを作る場合は、亜硫酸を入れる必要があると思いますが、まあ作り手それぞれの考え方によると思いますね。

レヴァンヴィヴァンのワインについて

ーーワインのリリースはいつ頃を予定していますか?

一応今年の収穫物でやろうと思っているので、できれば年内にリリースできればと思っていますが、難しいかもしれません。多分来年の5月とかそれくらいでしょうか?

ーー東御市に来られて、ぶどうを育てて5年になると思いますが、ワインをまだ出荷されていないということは、ぶどうがまだ育っていないということなのでしょうか?

そうですね、ぶどうの木が育っていなくて、まだ収穫できない状態です。
ぶどうが収穫できていれば、委託醸造も考えられましたが、僕の考えでは、それって絶対委託先の味になってしまうんですよね。自分が少しでも携わったとしても、結局委託先の責任者がいてその人の判断でやるので、それはもう自分のワインではないと思っていて、なので絶対に自分でやるんだっていう強い意志のもと、ここまできました。笑なので今はシードルがメインですが、ぶどうがちゃんと採れるようになってくればシードルの量を減らしてワインを本格的にやっていく予定です。

シードルについて

ーーシードルを始めようと思った理由はなんですか?

一番は、税務署の免許が関係しています。笑
免許が下りるようにするには、最低何本は作ってね、という風に決まっているんですよ。この免許というのが果実酒の免許なのですが、結局ぶどうがまだ取れていないので、どうにかしなくてはいけなかったんです。

最初僕はシードルには興味がなかったんですよ。でも、三年くらい前に友人からフランスのシードル、それもナチュラルに作られたものでしたが、それを教えてもらって飲んだら、すごく美味しくて「シードルってこんな味わいなんだ」ってびっくりしたんです。それ以来ナチュラルなシードルを日本でも作りたいと思い、長野はりんごの産地なのでどうせ作るなら栽培からやりたいね、ということで始めるに至りました。

始めてはみたものの、当然フランスのものとは品種も気候も違いますので、思ったような味わいにはなりませんでした。しかし、これからもナチュラルなシードルを日本で作るところは増えてくると思いますので、できるだけ日本独自のものを作っていけるといいなと思っています。

ーー味もパッケージもすごく良くて、最初興味がなかったところからここまで手を込められるようになったのは本当にすごいと思いますが、そういった意気込みはどこから来ていますか?

なんでしょうね?笑
やっぱり、作るからには美味しくないものは出したくないと思っています。リリースして最初はみんなご祝儀みたいな感じで買ってくれますが、「ああ、こんなもんか」って思われてしまったら後に続かないんですよね。やはり絶対に美味しいものでないといけませんし、自分たちなりに色々考えて、どうすれば美味しいものができるのかを突き詰めていくようにしています。
シードルはまだまだこれから伸びる分野だと思いますし、挑戦する価値があると感じます。

レヴァンヴィヴァンのシードルの強み

通常、購入リンゴを使用するところが多いので、うちみたいにリンゴまで育ててやっているところはなかなかないです。どうしても購入リンゴだと、自分たちが思っていたようなリンゴとは違うので、そういった部分では、他のワイナリーよりは強みがあるかと思います。他のワイナリーに比べると若干割高ではありますが、味わいの面では差別化できていると思っています。

次ページ:レヴァンヴィヴァンのコンセプト「ワインは生き物」について

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