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農業と行政の関係とは〜前長野県農政林務委員会 委員長 石和大さんインタビュー

民間の企業や農家・農業法人さんたちは、それぞれの役割を全うして農業の未来を支えるために、仕事に果敢に取り組んでいます。
では行政についてはどうでしょうか?
施行された制度・法律に関してはその都度知ることができますが、実際どんな仕事をしているのか、目にする機会は少ないと思います。

今回は前長野県農政林務委員会委員長で、ツチカウの母体がある長野県東御市出身の県議会議員、石和大さんにお話を伺いました!県がどのような仕事をして農業を支えているのか、石和さんご自身はこれからの農業をどう捉えているのか、詳しくお聞きしましたのでぜひご一読ください。

目次

農政林務委員会の主な仕事

県の行政には、農政部という分野と林務部という分野があります。
その二つの部を所管する委員会が、農政林務委員会です。
農政部の行政の仕事、例えば1年間の農業政策について、こういう事業を行っていき、そのための予算はこれくらいです、といった提案に対して、それがいいかどうか、認めるか認めないかの判断を農政林務委員会がします。
さらには、その事業を推進・遂行することを認めるかどうかと共に、どのようにその事業・政策が行われるかということも、その年度の中でチェックします。
具体的には、農業現場がどういう風に動いているのか現地調査しながらチェックします。

昨年(2019年度)の農政林務委員会の現地調査

前列左から3人目が石和さん

昨年は、まず春の段階で新規就農者を中心に、現地調査を行いました。
須坂市・中野市や、東御市についても調査しました。
長野県の新規就農者というのは、果樹を栽培する人が多いんですね。
ですから、須坂市や中野市あたりだと、生食用のブドウであるとか、リンゴであるとか、そういう果樹に挑戦した人が多いです。
現地調査をした上での感想として、須坂市、小布施町、高山村、中野市などでは、就農して5年ほど経って、かなり軌道に乗ってきているところや、後継者がいなかったところに新規就農者が入ってきて、バトンタッチがうまくいっているところがあるというのを実感しました。
東御市の場合は、生食用のブドウ栽培に新規就農した人たちもいて、里親が育ててくれてうまくいっている例もあります。
あと、最近東御市では、ワイン用のブドウ作りのために就農した人たちが圧倒的に多いという傾向が顕著です。

長野県新規就農里親制度について

バトンタッチがうまくいっているのは、農家さん間のコミュニティのみならず、県の政策によるところもあります。
長野県は「日本一就農しやすい県」を目指しています。
政策の成果として挙げられるのは、里親制度です。これは長野県の中でもうまく機能しているところが結構あります。
やりたいという熱意はあるけど、テクニカルな部分や農地などを持っていない人に対して、県や市町村、農協など様々なところがタイアップして里親を紹介し、マッチングをしていくという風に、この里親制度というのがよく機能しています。

これは長野県特有の政策というわけではなく、いろんなところでやっていると思いますが、長野県の場合は園芸王国と言われるくらい、果樹が農業の中でウエイトを占めています。里親制度はそういうところで役に立っています。
逆にいうとお米は、ある程度担い手農家に集約されていく傾向が強いと思います。このように大規模化していくというのも、一つの農業の流れだと思います。

昨年の農政林務委員会の仕事〜ウイルスや災害に翻弄された年〜

豚コレラ/豚熱(CSF)

去年はまず豚コレラ/豚熱(CSF)が蔓延した問題がありました。急激に野生イノシシの感染が増えて、その野生イノシシから豚の豚舎に入る、という例がありました。豚舎の中で一頭が感染すると、全頭処分で穴を掘って埋めるということをやらなければならなかったので、大変でした。

長野県でも、3舎に被害が出ました。イノシシの間で相当感染が拡大していたので、豚舎を守るために柵を整備するなどの対策をしました。それと、イノシシの駆除を目的に、ワクチン入りの餌を自衛隊に空から撒いてもらったりもして、イノシシにその餌を食べさせることで感染が拡がらないような対策もしました。
しかし結局全県で感染したイノシシが発見され、それだけでは防げないということで、昔やっていた、豚に直接注射でワクチンを接種する対策をとらざるをえなくなりました。結果、その対策によってウイルスがイノシシから感染することがなくなり、今は去年ほど話題にはならなくなりました。

台風19号

ワクチンを豚全頭に打って、少しずつ感染が収まってきたと思ったら、今度は台風19号に見舞われました。
それによって農業施設が甚大な被害を受け、千曲川流域では約1万カ所が被害を受けました。水田の、頭首工という水を入れる口や取水口を中心に、水路もズタズタにやられました。地域によってはややもすると、2・3年米作りができないかもしれないところもあります。

委員会としては本来は現地調査に行きたいところではありましたが、それが却って地元に対して負担がかかってしまう。今必死でみんな復旧作業に努めているのに、調査に行ったらその分地元の負担になるので、その当時は情報収集に注力しました。私は委員長として、他の常任委員会の委員長と議長・副議長、そして各会派の代表と災害対策本部を作って、それぞれの分野を超えて台風の被害に対する調査を行いました。

新型コロナウイルス

台風の対策も講じて、工事には時間がかかるけど少しずつ落ち着いてきた、と思ったら今度は新型コロナウイルスです。新しい年にしようぜって言っていたら今度はコロナになってしまい、なんとか議会も開催まではできましたが、色々な制約ができてしまったんです。現地調査なども、本来であれば様々な調査が予定されていましたが、全部中止になってしまいましたね。

これでやっと、議会が開会するのですが、マスク着用やソーシャルディスタンスなど、対策をとりながらやっていくことになります。現地調査も、このまま長野県内で感染が拡大しない、ということになれば、8月か9月には再開できるのではないか、と期待しております。

次ページ:石和さんご自身が考える農業について

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