買ってからでは遅い!トラクター用マルチャー選びで【絶対避けたい失敗】と最適な1台の見つけ方

こんにちは、ノウキナビです。
広い畑でのマルチ張り作業、手作業だと時間も体力も本当にかかりますよね。でも、トラクター用マルチャーがあれば、その悩みはぐっと減らせます。畝立てからマルチ張りまでを機械に任せることで、作業時間が大幅に短縮でき、体への負担も軽くなりますよ!
これからトラクター用マルチャーの導入を考えている方や、すでにお使いのマルチャーをもっと上手に使いたい方のために、マルチャーの種類や特徴、主要なモデルの比較、そしてご自身の農作業にぴったりな一台を見つけるための選び方について、詳しくお話ししていきます。
トラクター用マルチャーの基本の「き」
マルチャーの種類とそれぞれの特徴
トラクター用マルチャーは、その構造や使い方によっていくつかのタイプに分けられます。
アタッチメントタイプと専用マルチャーの比較
トラクター用マルチャーには、大きく分けて2つの主なタイプがあります。ひとつは、今持っているトラクターのロータリーに付けて使う「アタッチメントタイプ」。もうひとつは、畝立てとマルチ張りの作業に特化して作られた「専用マルチャー」です。
アタッチメントタイプのマルチャーは、手軽に取り付けられて価格帯も比較的安いものが多いのが特徴です。特に、アグリアタッチ研究所のFMシリーズやアグリテクノサーチのMRT-1Bのように、ロータリーのリヤカバーを付けたままでもワンタッチで取り付けられるモデルは、作業のしやすさで人気の商品です。
牽引タイプと管理機装着タイプの違い
マルチャーの動かし方という点では、「トラクター牽引タイプ」と「管理機装着タイプ」があります。トラクター牽引タイプは、その名の通りトラクターに引っ張らせて使うもので、広い畑での効率的な作業にぴったりです。大規模な農家さんではこちらが主流になっています。一方、管理機装着タイプは、家庭菜園くらいの規模や、比較的小さな畑で、手作業でのマルチ張りに時間がかかっている方におすすめです。管理機に装着するだけで、マルチ張りを機械化して、作業効率を大きく上げることができます。
作物別 畝の形
畝の形と適した作物
主な畝の形には、「平畝(ひらうね)」「台形畝(だいけいうね)」「高畝(たかうね)」があります。
- 平畝: 高さ5〜10cmくらいの平らな畝です。キュウリ、キャベツ、ハクサイ、ホウレンソウなど、根っこが浅く張る葉物野菜に適しています。水はけと水もちのバランスが良く、多くの作物で広く使われます。
- 台形畝: 幅や高さを調整できる畝です。特にアグリアタッチ研究所のDVNシリーズでは最大30cmまでの台形畝が作れます。水はけが悪い畑や、特定の作物を育てる場合に重宝しますね。
- 高畝: 高さ15〜30cmくらいの畝で、特に水はけを重視したいときに使われます。トマト、ナス、ピーマンなどの根腐れしやすい果菜類や、サツマイモ、ジャガイモなどの栽培に適しています。
畝を立てずに平らな地面に種をまく「畝立て無し」という方法もありますが、これはカボチャのように乾燥に強い作物に向いており、水はけの悪い土には適しません。
あなたにぴったりの一台を見つける:主要モデルの比較と選び方のポイント
ノウキナビで人気のトラクター用マルチャー徹底解説
アグリアタッチ研究所 FMシリーズ(平畝用)
FMシリーズは、平畝作りとマルチ張りを同時にこなせる簡易アタッチメントタイプとして、とっても人気があります。
- FM-18M(現行FM18M2): 10cmの平畝作りに対応し、使えるシート幅は75cmから180cmです。ロータリーのリヤカバーを付けたままでもワンタッチで取り付けが可能で、作業中の調整もハンドル操作で簡単にできます。リッジャー(畝高を上げる部品)は付属していませんが、後から取り付けることができます。
- FM-18RM(現行FM-18RM2): 15cmの平畝作りに対応するリッジャーが付属しており、使えるシート幅は75cmから180cmです。付属のリッジャーを外せば、10cmの畝作りも可能です。
- FM-18RM-B: 20cmの平畝作りに対応するリッジャーが付属し、使えるシート幅は95cmから180cmです。

アグリテクノサーチ MRT-1B
アグリテクノサーチのMRT-1Bは、ロータリー作業と同時にマルチ作業ができるモデルです。手作業でのマルチ張りから解放され、作業時間を大幅に短縮できますよ。幅広いマルチフィルムに対応しており、使えるフィルム幅は950mmから2400mmです。特に代表的な950mmと1350mmのマルチ幅にも対応しているので、多くの農家さんで使いやすいでしょう。トラクターのロータリー後輪ブラケットに取り付けるタイプで、取り付けも比較的簡単です。トラクターに水平機能が搭載されていると、マルチ張りの作業がさらに楽になりますよ。

アグリアタッチ研究所 DVNシリーズ(台形畝用)
DVNシリーズは、FMシリーズの畝の高さでは物足りない方におすすめのモデルで、もっと高い台形畝を作ることができます。
- DV15N-RM(現行DV15N2-RM): 最大30cmまでの台形畝作りが可能です。使えるマルチシート幅は180cmまで対応しています。リヤカバーを付けたまま取り付け可能で、「Uの字取り付けヒッチ」により爪に近づけるため、馬力の少ないトラクターでも作業ができます。2025年1月にDV15N2-RMへモデルチェンジしています。
- DV20N-RM(現行DV20N2-RM): DV15N-RMと基本的な機能は同じですが、もっと大きなマルチ(210cmまで)に対応し、畝幅や畝の高さも大きく作ることができます。推奨されるロータリー幅は160cmから200cmです。
DVNシリーズは畝整形機とマルチャーがセットになっていますが、畝整形だけが必要な場合は整形機単体でも購入可能です(型式はDV15N-R、DV20N-R)。後からマルチャー部分だけを追加購入することで、マルチ機能を追加できる柔軟性も持っています。

マルチャーをトラクターに装着して使う場合、今お持ちのトラクターがマルチャーの取り付け条件を満たしているか、十分に確認する必要があります。具体的には、トラクターのPTO(動力取り出し)の有無と馬力、そして3点リンクに装着できるかどうかが重要です。
特にアタッチメントタイプの場合トラクターのロータリーにツールバーが付いているか、ツールバーの中心部の大きさが60mm角であるか、ツールバーの穴の間隔が中心から10cmで、穴の直径が16mm以上であるかといった詳細な仕様が取り付け条件となります。
また、ツールバーが上下に動き、前後に動かせるタイプであることも重要です(固定式は装着できません)。アグリアタッチ研究所のDVNシリーズのように、耕うんロータリーの後ろに装着するモデルの場合、トラクターのフロントウェイトが必要になるケースがある点も考慮に入れるべきです。例えば、15型で94kg、20型で100kgの重さがあり、20馬力前半の軽い車体では40〜60kgのウェイトが必要になることがあります。


マルチャーの取り付けと安全で効率的な使い方
トラクターへのマルチャー取り付け手順
①まず、トラクターをマルチャーの中心に向けて静かにバックさせます。ロワーリンクがロワーピンの位置まで近づいたら、エンジンを止めて、駐車ブレーキを確実にかけます。
②後方から見て、左側のロワーリンクを左側のロワーピンに取り付け、リンチピンで抜け止めをします。同じように右側も取り付けます。
③トップリンクの長さを調整し、全面マルチのマストにトップリンクピンで取り付けます。
④PTO(動力取り出し)ジョイントのロックピンを押し込みながら、トラクターのPTO軸とマルチャーの入力軸へ挿入し、ロックピンを軸の溝で確実に止めます。この際、ジョイントの噛み合い幅は最低50mm以上必要です。噛み合いが少ないと壊れる原因となります。
全ての装着が終わったら、各所の抜け止めが確実になされているか、装着全体が安全な状態にあるかを最終確認しましょう。
マルチャー操作の基本と作業効率を高めるコツ
まっすぐなマルチ張りのための目印設定と進行方法
マルチ張りの品質は、その「まっすぐさ」に大きく左右されます。まっすぐに張られたマルチは、その後の管理作業(例えば、トンネル資材の取り付けや、作物の定植作業など)を格段にスムーズにします。
作業を始める前に、進む方向のゴール地点に左、中央、右の3つの目印を立てることをおすすめします。トラクターの中心と真ん中の目印を常に一直線に合わせながら進むことで、まっすぐなラインを保つことができますよ。作業中は、足元だけでなく、常に3〜4m先を見据えてまっすぐ進むことを意識してください。これにより、急に曲がってしまうのを防ぎ、安定したマルチ張りが可能になります。
スポンジローラーの適切な位置と圧力調整
マルチの肩部分を適切に押さえるスポンジローラーの位置と圧力は、マルチが土との間に隙間なくぴったり密着し、きれいに張られるためにとっても重要です。
スポンジローラーの位置が外側に寄りすぎると、マルチと土の間に空間ができ、きれいに張れません。逆に内側に寄せすぎると、マルチがUの字に折れて土が乗りにくくなります。畝の断面をイメージし、台形の斜面を少し上に登った位置で押さえるのが理想です。
圧力が強すぎると、土寄せプレートが浮き上がってしまい、土が十分に寄せられません。弱すぎると、マルチが作業中にずれてしまう原因となります。適切な圧力を色々試しながら見つけることが大切です。また、左右のスポンジローラーのバランスが崩れると、マルチにしわやねじれが生じます。古い機械では調整が難しい場合もありますが、可能な限り中心をしっかりとり、左右対称を心がけましょう。
土寄せプレートの角度調整とマルチフィルムの引き出し方向
土寄せプレートの角度は、土の塊が詰まらないように、かつマルチに土がしっかり乗るように調整します。スポンジに近すぎるとマルチに接触したり、土の塊が詰まったりする可能性があります。畝が作られた後に左右に余った土を、マルチの上に集めるイメージで、なるべく外側に広げた方が土を集めやすいでしょう。マルチフィルムは、風で浮き上がりにくいように、芯の下側から引き出すように設置することが推奨されます。上側から引き出すと、風の影響を受けやすくなります。
よくあるトラブルとその対処法
マルチ張りの不具合(シワ、ズレ、土が乗らない)
マルチ張りの品質に関する不具合は、主にマルチャーの調整不足が原因であることが多いです。
- シワやズレ: スポンジローラーの位置や圧力が適切でなかったり、左右のバランスが崩れていたりすると、マルチにしわやねじれが生じやすくなります。畝の断面を意識し、適切な位置と圧力でスポンジローラーがマルチを押さえるように調整し、左右対称を心がけましょう。
- 土が乗らない: 土寄せプレートの角度や位置が適切でないと、マルチに十分な土が乗らず、マルチが浮き上がってしまう原因となります。土寄せプレートは、畝が作られた後の余った土をマルチの上に集めるイメージで、なるべく外側に広げ、円盤が回転する程度の角度に調整することが重要です。また、マルチフィルムを芯の下側から引き出すことで、風による浮き上がりを防げます。
- 圃場準備不足: 土の耕うんが不十分だったり、小石や作物の残りが残っていたり、水分状態が適切でなかったりすると、きれいに畝が作れず、結果的にマルチ張りの不具合につながります。作業前の畑の準備を徹底することが、トラブル防止の第一歩です。
Q&A:マルチャーに関するよくある疑問
Q1:トラクター用マルチャーとは、どのような機械ですか?
A1: トラクター用マルチャーは、トラクターに装着して使う農業機械です。畝(うね)に沿って均一にマルチフィルムを敷くことで、雑草を抑えたり、土の水分を保ったり、土の温度を調整したり、病害虫を減らしたりする効果をもたらし、作物の生育を助けます。
Q2:このトラクター用マルチャー(MRT-1B)は、どのような作業に適していますか?
A2: 野菜や果物などの畑作物で、マルチ栽培を行う際にとても有効です。特に、広い範囲の畝に効率よくきれいにマルチを張りたい場合に適しており、作業時間の短縮と体力の軽減に貢献します。
Q3:どのような種類のトラクターに取り付け可能ですか?
A3: この製品は、一般的なトラクターの3点リンクに装着して使用します。トラクターの馬力やPTO(動力取り出し)の有無など、詳しい適合条件については、今お持ちのトラクターの仕様を確認するか、販売店に問い合わせてみてくださいね。
Q4:どのような幅のマルチフィルムに対応していますか?
A4: マルチャーのモデルによって対応するマルチフィルムの幅は異なります。MRT-1Bの具体的な対応幅は950mmから2400mmです。代表的なマルチの幅である950mmと1350mmにも対応しています。幅広い種類の作物に対応できるよう、調整可能なタイプも存在します。
Q5:製品の取り付けや操作は難しいですか?
A5: トラクターへの取り付けは、3点リンクに装着する一般的な農機具と同じように行えます。操作も比較的シンプルで、トラクターのPTO動力でマルチフィルムを繰り出し、整形部で畝に沿って張っていく形です。初めての方でも、取扱説明書に従って簡単に設置・操作できるよう設計されています。
シーズン中には品薄必至:お早めに購入を!
アグリアタッチ研究所のFM18M2とFM-18RM2は、ノウキナビでも大変人気の高い商品です。特にシーズン中は注文が集中し、品薄になることも少なくありません。
せっかくの農作業シーズンに、必要なマルチャーが手に入らないなんてことにならないよう、お早めにご注文いただき、万全の準備で臨むことをおすすめします!