日本の自動車税は世界トップクラスの重税!「環境性能割」停止の追い風はあるのか?車を「持っているだけ」で損をしない時代へ

日本の自動車業界とユーザーにとって、いま大きな歴史的転換点が訪れようとしています。
長年「世界一重い」と言われ続けてきた日本の自動車諸税。2025年11月、50年以上続いた「暫定税率」の廃止がついに決まり、それに続く形で「環境性能割」の2年間停止というビッグニュースが飛び込んできました。
車が「贅沢品」から「生活必需品」へと変わった今、不合理な税制はどう変わるのか?
暫定税率廃止に続く“減税ラッシュ”は、地方の救いとなるのでしょうか。
日本の自動車税は「世界一」レベルの重税国家?
「日本の自動車税は高すぎる」——。これは単なる個人の感想ではなく、数字が物語る事実です。驚くことに、日本の自動車ユーザーが負担する税金は、欧州の主要国と比較しても約2倍〜3倍という、先進国の中でも群を抜いて重いレベルにあります。
なぜこれほどまでに「負担」を感じるのでしょうか。その理由は、日本独自の古い課税の仕組みにあります。
世界は「環境」と「実働」、日本は「排気量」
現在、世界(特に欧州)のトレンドは、「どれだけ地球に負荷をかけたか」を基準にする課税です。
- 欧州の主流: 二酸化炭素(CO2)の排出量や、実際に道路を走った距離(走行距離)に応じて税額が決まります。つまり、「たくさん汚した人、たくさん道路を使った人」が応分の負担をするという、非常に納得感のあるフェアな仕組みです。
- 日本の現状: いまだに昭和の時代から続く「エンジンの排気量」で税額が決まる仕組みが中心です。たとえ年に数回しか乗らなくても、古い車をメンテナンスして大切に乗っていても、「持っているだけ」で毎年高額な納付書が届く。これが日本の「保有課税」の正体です。
「生活の足」が狙い撃ちされる不公平
特にこの仕組みの犠牲になっているのが、地方や農村部で暮らす方々、そして農業や建設現場を支えるプロフェッショナルな皆さんです。 軽トラックや作業車、物流を担うトラックは、贅沢品ではなく「生きていくための道具」です。
しかし、排気量や車両重量で機械的に税金が決まるため、公共交通機関が発達した都市部の人よりも、生活のために車が欠かせない地方の人ほど、可処分所得を税金に削られるという不条理な格差が生まれています。
ついに来た!「大減税」への歴史的な一歩
しかし今、この「日本の常識」がようやく崩れ始めようとしています。自動車ユーザーにとって、見逃せない2つの大きな変化が近づいています。
「環境性能割」が2年間お休みに?!
車を購入する際、燃費に応じて最大3%が課される「環境性能割」。 実はこれ、「消費税も払っているのに、さらに車独自の税金を払うのは二重課税ではないか?」と長年批判の的になってきた税金です。政府は、新車の買い替えを後押しするため、この環境性能割を2026年度から2年間、一時的に停止する方針を固めました。 これは、家計にとっても、事業運営にとっても無視できない大きな減税となります。
「暫定税率」50年の歴史に幕
さらに大きなインパクトがあるのが、ガソリン代に上乗せされている「暫定税率」の廃止です。 「道路を作るための財源が足りない」という理由で、1974年に「当分の間」として始まったこの税金。50年以上も「当分の間」が続いてきましたが、2025年末をもってついにこの上乗せ分の廃止が決定しました。これにより、毎日のガソリン代という「ランニングコスト」が根本から見直されることになります

農家さんにも追い風が?
毎日の「ガソリン・軽油代」がグッと楽に!
農業用車両にとって、最大の経費のひとつが燃料費。 2025年末に決定した「暫定税率の廃止」は、農家さんにとっても朗報だったことは間違いありません。
- リッター約25円のコストカット: これまでガソリン代に上乗せされていた「謎の税金(暫定税率)」がなくなることで、毎日の給油がぐっと安くなります。
- 「移動」も「運搬」も低コストに: 集荷場への往復や資材の運搬など、走行距離がかさむ農繁期ほど、この減税のありがたみを実感できるはずです。
頼れる相棒「軽トラ」が安く買える!
2026年度から2年間、車を買う時の税金「環境性能割」の停止という方針が固まりつつあります。
- 働く車ほど、実は損をしていた?: これまでの制度では、燃費重視の乗用車が優遇される一方、パワーが必要な「軽トラ」や「4WDの作業車」は税金をフルに払わされるケースが多々ありました。
- 買い替えの絶好のチャンス: 「そろそろガタがきたから買い替えようかな」と考えていたなら、2026年度からの2年間が狙い目。これまで数万円かかっていた取得時の税金がゼロになり、浮いたお金を肥料代や新しい農機具のメンテナンスに回せます。
「農機具」はもともと非課税、だから「車両」に集中できる
トラクターやコンバインなどの農機具には、もともと環境性能割はかかりません。 だからこそ、今回の「車両(軽トラ・トラック)」に対する減税は、農機具以外の固定費を削る絶好の機会なのです。
環境性能割停止の恩恵は?2026年以降、古い車両の税金はどう変わるのか
「環境性能割」停止の恩恵を受けるのは誰?
- 新車購入時の直接的な値下げ効果 これまで燃費基準に応じて「取得価格の0〜3%」がかかっていました。例えば、300万円のガソリン車(3%課税対象)を購入する場合、一気に9万円も安くなる計算です。
- 「損をしていた車種」が選びやすくなる これまでの制度では、EVやハイブリッド車は「非課税」で優遇される一方、パワーが必要なガソリン車や、地方の仕事で欠かせない軽トラ・作業車などは、燃費基準の関係で「3%のフル課税」を課されることが多くありました。この停止により、「本当に必要な車種」を税金のハンデなしで選べるようになります。
- 中古車市場への影響 環境性能割は、取得価格が50万円を超える中古車にもかかります。2026年以降の2年間は、比較的新しい(高年式な)中古車を買う際の諸費用も安くなるため、中古車を検討している方にも大きな恩恵があります。
「古い車両(経年車)」の税金はどう変わるのか?
しかし、2026年以降、古い車を取り巻く環境には以下の2つの変化が予想されます。
① 重課税(ペナルティ)は依然として残る可能性が高い
現在、日本では新車登録から13年(ディーゼル車は11年)を超えた車に対して、自動車税が約15%、重量税が大幅に増税される「重課制度」があります。 今回の改正案では、この「古い車への重税」を廃止するという明文化はまだされていません。 むしろ、国としては「環境性能割を停止するから、今のうちに税金の安い最新の車へ買い替えてください」という、買い替え促進のメッセージとしての側面が強いのです。
② 維持費全体(ガソリン代)では大きなプラス
古い車、特に燃費がそれほど良くない車両に乗っている方にとって、最大の恩恵は「環境性能割」よりも「暫定税率の廃止」です。 2025年末にガソリン税の上乗せ分(暫定税率)が廃止されることで、リッターあたりの燃料代が25円前後下がります。燃費の悪い古い車ほど、この燃料代カットの恩恵をダイレクトに受けるため、「毎月の維持費」という点では、古い車を乗り続けるハードルは少し下がります。
よくある質問(FAQ)
よくある質問(FAQ)
Q1: 2026年の税制改正で、私の軽トラックや小型トラックの自動車税は具体的にどう変わるのでしょうか?
A1: 2026年以降の税制改正では、自動車税が従来の排気量ベースからCO2排出量に応じた課税体系へ移行する見込みです。特に、環境性能の高い新車は税負担が軽減される可能性があります。しかし、既存の古い車両への直接的な減税効果は限定的で、よりエコな新車への買い替えが促進される方向性です。
Q2: 環境性能割の2年間停止検討は、私の今乗っている古い軽トラックや小型トラックにも恩恵がありますか?
A2: 環境性能割は、車の購入時や取得時に課税されるため、既にお持ちの車両には直接的な恩恵はありません。この停止検討は、新車や中古車の購入を検討している事業者にとって、購入時の初期費用を抑えられるメリットがあります。既存の車両の維持費削減には繋がらないため、ご注意ください。
Q3: 長年使用している古い軽トラックや小型トラックの自動車税や維持費を、今すぐ少しでも抑える方法はありますか?
A3: 現在の税制では、古い車両への直接的な減税は難しいのが現状です。維持費削減のためには、エコドライブを心がけ燃料費を抑える、定期的なメンテナンスで故障を防ぐ、複数の保険会社を比較して自動車保険料を見直すなどが有効です。また、自治体によっては事業用車両向けの補助金がある場合もあります。
Q4: 今後の自動車税制は、排気量ではなく走行距離やCO2排出量で税額が決まるようになるのでしょうか?
A4: はい、政府は自動車税制をCO2排出量に応じた課税体系へ移行する方向で検討を進めています。走行距離課税については、公平性やプライバシーの問題から導入は難しいとされています。CO2課税が実現すれば、環境負荷の低い車両ほど税負担が軽くなり、排気量にとらわれないより公正な税制へと変わる可能性があります。
Q5: 事業で使用する車両が、最新の環境基準を満たしていないと税制上ずっと不利なままなのでしょうか?
A5: 現行制度では、古い車両は環境性能割などの優遇を受けにくい傾向にあります。しかし、2026年以降のCO2排出量ベースへの税制改正が進めば、既存の車両でも電気自動車への改造や、将来的に環境性能の高い中古車への買い替えなどで、税負担を軽減できる道が開かれるかもしれません。長期的な視点での車両計画が重要です。
まとめ:日本の自動車税制は「耐える時代」から「変わる時代」へ
今回の改革は、単なる一時的な減税ではありません。 「車は贅沢品ではなく、国民の生活と経済を支える基盤である」という当たり前の認識に立ち返り、「古い車を大切にする人」「仕事で毎日汗を流す人」「公共交通機関がない地域で踏ん張る人」が、正当に報われる税制へと進化するための第一歩になる事は間違いないでしょう。








