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雪害に備える!雪国の農家にとって の命綱【発電機】について徹底解説

雪国の農家にとって、冬の停電は死活問題ですね。雪害で甚大な被害がおきてしまう前に・・・
ビニールハウスの倒壊防止、作物と設備を守るための防衛手段として備えておきたい「発電機」。
冬の停電リスクに備えて現場ならではの選び方から春先までの運用について解説します。

目次

発電機が必要な理由

●ビニールハウスの倒壊を防ぐため

これが最も切実な理由ではないでしょうか。

融雪用ボイラー・循環扇の維持:ハウスの屋根に積もった雪を溶かすために、内部を暖めるボイラーや熱風を回すファンを動かします。停電でこれらが止まると、一気に雪が積もり、数時間でハウスが押し潰されてしまいます。

自動カーテンの作動:雪の重みがかかる前にカーテンを開閉して雪を落とす仕組みがある場合も、電気がなければ動きません。

●出荷・貯蔵施設の管理
 
保冷庫・貯蔵庫の温度維持: 雪下野菜や貯蔵しているジャガイモ、玉ねぎなどは、一定の温度(凍結しない程度)に保つ必要があります。停電で管理システムが止まると、中身が凍って商品にならなくなってしまいます。

選別機・パッキング機の稼働: 停電しても出荷作業を止められない場合、発電機があれば作業灯と機械を動かして作業を継続できます。

●冬の「農機具」の始動補助

バッテリーの充電・予熱: 極寒の朝はトラクターや除雪機のバッテリーが上がりやすくなります。発電機があれば、その場で充電器をつないだり、エンジンを温めるヒーターを使ったりして、スムーズに除雪作業を開始できます。

●居住区と作業場の防災

断水対策: 井戸水を使っている農家の場合、停電するとポンプが止まり、水が出なくなります。野菜の洗浄だけでなく、生活用水を確保するためにも発電機が必要です。

発電機を選ぶポイント

農家が発電機を選ぶ際、レジャー用とは異なる「現場ならでは」の視点に注目しましょう。

● 「消費電力」ではなく「起動電力」で選ぶ

一番やりがちな失敗が、使いたい機械のワット数を合計して発電機を選んでしまうことです。

・モーター駆動の機械に注意: ハウスの循環扇(ファン)、散水ポンプ、コンプレッサーなどは、動き出す瞬間に定格消費電力の3倍〜5倍の電力(起動電力)を必要とします。
・選び方: 「一番大きなモーターを使う機械の起動電力」+「同時に使う他の電器製品の合計」を計算し、それより余裕のある出力(kVA)のものを選びましょう。

●「インバーター」の有無を確認する

・インバーター付き:パソコン、スマホの充電、精密な制御盤がついたボイラーや選別機などを使うなら必須です。電気が安定しているため、故障を防げます。
・スタンダード(インバーターなし):白熱灯や古いタイプのモーター、投光器、ヒーターなど「単純に動けばいい」ものだけなら安価なこちらでも十分ですが、今の農業設備を考えるとインバーター付きを選んでおく方が無難です。

●「燃料の種類」を既存の農機と合わせる

雪の日はガソリンスタンドへ行くのも一苦労です。手持ちの農機具と燃料を合わせると管理が非常に楽になります。

・ガソリン:管理機や除雪機、多くのポータブル発電機がこれです。入手が容易ですが、保管に気を使います。
・軽油(ディーゼル):大型トラクターを使っているなら、燃料を共有できるディーゼル発電機が便利です。燃費が良く、パワーもあります。
・LPガス(カセットボンベ式):燃料の長期保管が最も楽で、メンテナンスも簡単です。ただし、出力が小さめなので「停電時のスマホ充電と照明、最小限のファン」といった限定的な用途に向いています。

●地域に合った「周波数(Hz)」と「電圧」

・50Hz / 60Hz: 東日本(50Hz)と西日本(60Hz)で異なります。最近は両方対応の「切り替え式」が多いですが、中古などを買う際は必ず確認してください。
・単相100V / 三相200V: 家庭用コンセント(100V)だけでなく、大型の動力用ポンプや冷蔵庫(三相200V)を動かしたい場合は、それに対応した出力を持つ発電機が必要です。

★★農家におすすめのスペック例<用途推奨スペック>★★

スマホ・PC・照明・小型扇風機 1.0kVA前後(インバーター付き、ポータブル)
ハウスのボイラー・循環扇数台 2.5kVA〜3.0kVA(インバーター付き、ガソリン)
動力用ポンプ・大型冷蔵庫 三相200V対応の大型発電機

冬の設置場所

発電機は「機械」ですので、雪や寒さに対して非常にデリケートです。特に停電時は吹雪いていることも多いため、「いかに安全に、かつ壊さずに動かし続けるか」が重要になります。

農家が実践している、冬の設置場所に関する注意点をまとめました。

●屋内での使用は「絶対厳禁」

これが最も重要です。吹雪いていると、どうしても作業小屋やビニールハウスの中で動かしたくなりますが、一酸化炭素中毒の危険があるため、絶対に室内で動かしてはいけません。
必ず屋外、または開放された軒下に設置します。

●「雪に埋もれない」工夫

発電機が雪に埋まると、吸気口(空気を吸う場所)や排気口が塞がり、エンジンが止まったり、最悪の場合は故障・火災の原因になります。

高さを出す:地面に直接置かず、パレットや丈夫な台の上に設置して、積雪から距離を取ります。

簡易的な屋根:雪が直接かからないよう、波板やコンパネなどで「雪よけ」を作ります。ただし、排気熱がこもらないよう、四方は十分に開けて風通しを良くしてください。

●「排気」の方向に注意する

ハウスや住居から離す:排気ガスが風に乗ってビニールハウス内や住宅の隙間から入り込まないよう、風下に向けて設置します。

雪の壁を避ける:排気が雪の壁に直接当たると、雪が溶けて水になり、それが凍って排気口を塞いでしまうことがあります。

●延長コードの「防水・凍結」対策

発電機から機械までコードを引く際、雪の上にコードを這わせることになります。

防水コネクタの活用:接続部分が雪に触れるとショートします。接続部はビニールで巻くか、防水仕様の延長コード(防雨型)を使用してください。

コードの埋没防止:雪の中にコードが埋まってしまうと、除雪機で引っ掛けて断線させるリスクがあります。可能な限り、高い位置を通すか目印のポールを立てます。

●盗難対策と固定

災害時や停電時は、残念ながら発電機の盗難が増える傾向にあります。

ワイヤーロック: 柱や重い農機具とワイヤーで繋いでロックしておきます。

防振:雪の上や台の上は意外と滑ります。運転中の振動で発電機が動いて落下しないよう、平らな場所でしっかり固定します。

【現場の知恵】

吹雪の中、外までガソリンを給油しに行くのは大変です。設置場所を決めるときは、「夜中でも、雪をかき分けずに給油に行ける場所か?という動線も考えておくと、実際の運用が楽になりますよ。

これで、冬の発電機運用のイメージはバッチリですね!

春までの正しい「しまい方」

発電機は、たまにしか使わないからこそ、使い終わった後のメンテナンスが命です。特に冬の停電や除雪作業で酷使したあと、そのまま放置してしまうと、次に使いたい時にエンジンがかからず、ただの「重たい箱」になってしまいます。
春まで、あるいは次の出番までの正しい「しまい方」をまとめました。

●燃料を完全に抜き取る(最重要)

ガソリンは3ヶ月も放置すると酸化が始まり、腐食したガソリンが「キャブレター」という細い燃料管を詰まらせます。

タンクを空にする:市販のシュポシュポ(灯油ポンプ)などで、タンク内の燃料を可能な限り抜きます。

キャブ内のガソリンを使い切る:タンクを空にした後、エンジンをかけます。しばらくすると、配管に残っていたガソリンを使い切って自然にエンジンが止まります。これで内部が空になり、詰まりを防げます。

●オイルの汚れをチェックする

冬の厳しい環境で動かした後のオイルは、結露による水分が混じったり、酸化したりしていることが多いです。

交換のタイミング:オイルが真っ黒だったり、白濁(水分混入)していたりする場合は、新しいうちに交換してから保管します。きれいなオイルで満たしておくことで、エンジン内部のサビを防げます。

● 外装の清掃と乾燥

雪・泥を落とす:雪がついたまま保管すると、湿気で金属部分がすぐにサビます。乾いた布でしっかり拭き取り、湿気のない場所でしっかり乾燥させてください。

防錆スプレー:金属の露出している部分やネジ周りに、軽く防錆スプレー(CRCなど)を吹いておくと安心です。

●保管場所とネズミ対策

保管場所:直射日光が当たらず、風通しの良い乾燥した場所に置きます。

ネズミの侵入防止:農家の倉庫では、冬の間に暖かい発電機の内部にネズミが入り込み、配線をかじることが本当によくあります。

対策:カバーをかけるか、空気の取り入れ口に金網を貼る、あるいは周囲に忌避剤を置くのが有効です。

【プロの裏技】

保管中の「たま回し」
しまいっぱなしにせず、1〜2ヶ月に一度、5分ほどエンジンをかけてあげるのが、実は一番のメンテナンスです。これを「たま回し」と呼びます。 これを行うことで、エンジン内部にオイルが循環し、ゴムパッキンの乾燥や固着を防ぐことができます。

これで雪の季節から春にかけての発電機の管理は完璧ですね!

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