こだわりいっぱいの油でみんなと繋がりたい〜たねのわ搾油所さんインタビュー part.1

公開日: : Humans of 農業

今回のHumans of 農業は、長崎県で油屋さんを営んでおられる、たねのわ搾油所のお二人が主役です。
ご主人の陽馬さん、奥さんのれんげさんの二人三脚でやっているこちらの油は、こだわりがいっぱい。無添加にも心がけており、安心して食べることのできる油を作っています。
今回のインタビューではそんなこだわりいっぱいの油の魅力や、なぜお二人が搾油所を始めたのかなど、たくさん話してもらっています。
全3作ありますので、是非最後までお楽しみください!

ーーたねのわ搾油所の”たねのわ”はどういう意味なんですか?
“たねのわ” の “たね” は植物の種の事です。油の原料は、菜種もゴマもエゴマも椿も、みな植物の種です。
その “たね” で色々な方と繋がっていきたいという願いを込めて “たねのわ搾油所” と名付けました。

ーーたねのわ搾油所はいつから始めたのですか?
2017年の10月から始めました。

ーー長野ご出身とお聞きしましたが、なぜ長崎で搾油所をやっておられるのですか?
(れんげさん:)
夫の転勤で長崎の佐世保市に来まして、その会社を辞めて今の事業を始めるとなった時に、長野に戻ろうか、こっちに留まろうか考えたんです。
でも長崎が気に入ったので、こっちに残ってたねのわ搾油所を始めました。

(陽馬さん:)
なんで残ったかというと、大きな理由が二つあって、
一つは土地とか九州の自然や海が魅力的だったということ。
あと一つは 人 ですね。

こちらで出会った友人たちがすごく良い、今でもつながっているような人たちで、たまたまその人たちが、自営業をやっていたんですよね。こっちには綺麗な海と砂浜があるんですけど、
その砂浜の前で、すごく古いやり方で塩を作っている友人がいたり、
原材料からこだわったコーヒー豆を焙煎している友人がいたり、
あと、とても可愛らしいお菓子を作っている友達がいたりと、
自営業をやっている友達が多いんです。
経済的に、長崎県の北部というのはあまり大きな産業はなくて。
なかなか厳しい状況で、パッと仕事が見つかるなんてことはすぐにはないんですよね。
でもその中でみんなすごくのびのびと、自分の作りたいものに力を注いで作っている様子があって、元々自分たちで何かやりたいっていう志向はあったので、
それだったらこの場所でやろうと思ったのがきっかけなんですね

平戸市上段の野

ーーなぜ”搾油”を仕事にしたのですか?
(陽馬さん:)
勤めていた会社を辞めた時点ではまだ油屋さんになるかどうかはわからなくて。
会社を辞めてこっちに残るにあたってどうしようかなと思っていた時に、ポッと油が浮かび、ちょっとチャレンジしてみようかなと思ったんです。
油屋さんていうのは、一般的なお仕事ではないんですけど、結構九州とか東北には残っているんですよ。
全部で40件下回るくらいなんですけど、九州と東北に割と偏在しているんですね。
なので、こちらに残っている搾油所の一つ一つを巡って旅したんです。
搾油の現場とか実情を知るにつれて、是非やってみたいという風になっていって
「よしこれをやろう」とその時初めて二人で決めました。

(れんげさん:)
長野でするのか、こっちでするのかっていうこと自体は迷って、二人で話し合ったり家族に相談しました。
でも結局のところ、自営業をしている仲間が周りにできて、応援したり見守ったりしてくれる人ができたというのが一番大きかったですね。

たねのわさんの油

ーー搾油所をやっていて、嬉しい時や幸せな時はどんなときですか?
(れんげさん:)
おいしいって言ってもらえた時が一番嬉しいですね。

(陽馬さん:)
よく、和食の方だったりイタリアンの方だったり、料理人にも使っていただいています。
土地のものを使って土地の味を出していくってのを、料理人の方達は意識されていて、
そういう人たちと、(自分たちの油を)使っていただくことで、長崎の味の一つとしてコラボできるので、
その繋がりの中で、地元の食べ物だって認識していただけるのがすごく楽しい

面白いなって思うのが、イタリアンのお店のお話なんですが、
有名なイタリア料理での一つで、鶏肉の悪魔風(ディアボラ)という料理があるんですね。
鉄板の上で重石を乗っけてジューって皮をパリパリにする料理なんです。
これはイタリア料理なので普通オリーブオイルを使いそうなところを、そのシェフは(たねのわ搾油所の)菜種油を使ってくれています。
熱の伝わり方的に、菜種油の方が焦げにくいって言っていて、
そのシェフはバリッとした食感を出したいとのことだったので、
オリーブオイルだと焦げちゃうけど菜種油だとバリッとするまで焦げないから良いって言って、その料理には必ず使ってもらっていますね。

ーー逆にうまく行かないなと思った時はありますか?
(お二人:)
多々あります。笑

(れんげさん:)
最初搾油所を立ち上げていくときに、機械一台一台が高すぎて、
購入することができないってなった時も、油屋さんになれるのかなって悩みましたし、最初は立ち上げが難しいってところで結構凹みました。
地元の造船業者さんの力を借りることができて、なんとかなって良かったんですけど。
日々いろいろあるんです。

(陽馬さん:)
でも僕らってまだ始めたばかりで、油屋さんの中にはもう何十年もやっていて、
「僕で三代目です」とかいう人もいるんです。そういう方達からみたら僕らはまだ三年も経っていないので。
始めてみて、売り上げ伸びていくのかなとかそういう不安は、まあどんな仕事もそうだと思うけど、あります。

作業する陽馬さんとれんげさん

たねのわ搾油所ホームページ:http://tanenowa.mystrikingly.com/

(つづく)

 
 

Yui

投稿者:takato

関連記事

青みかんとネロリにかける想い〜無農薬栽培を手掛ける山辺果樹園インタビューpart2

山辺果樹園インタビュー第二弾では、山辺さんが去年立ち上げた化粧品ブランド、juneroについて詳し

記事を読む

タネが食の未来を握る? 「タネの図書館」について浜松シードバンク・シードカフェさんに聞いてみた!

昨年12月に種苗法の改正が可決され、農に関わる人には今何かと気になるタネの話。しかしそれは、私たち

記事を読む

こだわりいっぱいの油でみんなと繋がりたい〜たねのわ搾油所さんインタビュー part.2

ーー原材料のこだわりはありますか?(陽馬さん:)胡麻は海外産を使っていますが、菜種は拘っています。

記事を読む

ワインは生き物〜LES VINS VIVANTS(レヴァンヴィヴァン) インタビュー

長野県東御市でLES VINS VIVANTS (以下レヴァンヴィヴァン)という名でワイナリーを営

記事を読む

農業と行政の関係とは〜前長野県農政林務委員会 委員長 石和大さんインタビュー

民間の企業や農家・農業法人さんたちは、それぞれの役割を全うして農業の未来を支えるために、仕事に果敢

記事を読む

青みかんとネロリにかける想い〜無農薬栽培を手掛ける山辺果樹園インタビューpart1

長崎県にあるYAMABE KAJUEN(山辺果樹園、以下山辺果樹園)さんでは無農薬の柑橘類を栽培し

記事を読む

私の就農ストーリーpart3(唐沢農機サービス 井上さん)

オランダから、帰ってきてすぐ自分でイチゴづくりをやろうかなと思っていました。 ゆくゆくは会社として

記事を読む

唐沢農機サービス代表に訊く「ノウキナビにかける思い」とは?

市場には、眠ったままの農機具が多くあると言います。いつ来るかわからないその時を、使えるはずの農機た

記事を読む

私の就農ストーリーpart1 (唐沢農機サービス 井上さん)

祖父母がリンゴ農家だったんですよ。父親は別の仕事をしていました。最初はそちらにも興味があったんです

記事を読む

飲食店経営、農業人材の育成など、多彩な働き方を地域で実践する谷村さんへのインタビュー

今回のHumans of 農業は、サラリーマンとして10年働いた後、8年前に地元の京都府亀岡市で農

記事を読む