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8〜10月に農家がやっていること

我が家は、白ネギと里芋の一種・エビイモを栽培している露地野菜農家です。これらの作物の収獲は主に晩秋~初夏に行われるので、夏~初秋の間はその他の管理作業が主な仕事になります。この記事では、収獲のない時期の露地野菜農家が、具体的にどんな農作業をしているのかをお伝えします。農業や農家の生活に少しでも興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

目次

8〜9月に農家がやっていること① 自然との戦い

我が家の白ネギとエビイモの栽培体系では、8~9月は作物の収穫がありません。10月中旬くらいから、ようやくエビイモの早期栽培分の収獲が始まるといったところです。しかし、収獲・出荷作業がないからといって毎日暇にしているかというと、実はそうでもありません。秋以降の収獲に向けて日々作物の管理作業をしているのですが、梅雨明け後の酷暑や台風が接近する時期に入ることから、8~10月は日々自然環境と戦っています。それでは、具体的に何と戦ってどんな農作業をしているかについてご紹介します。

~暑さとの戦い~ 農家の1日のルーティン

近年の夏は本当に酷暑続きです。なので、畑作業はなるべく涼しい時間帯に、十分な休憩を挟みながら行っています。わたしの場合は、だいたい毎朝5時に起床し、まずは家族のお弁当を作ります。6時頃から畑に出て8時頃まで作業をします。畑はすべて家の近くにあるので、ここで一旦家に帰って休憩です。1時間ほどゆっくりして、十分に身体を冷やしてから10時からお昼前くらいまで畑作業をします。そして、昼食後は昼寝をしたり家事をし、夕方16時頃から19時くらいまでの間また畑作業です。作業中はもちろん水分をこまめにとって、熱中症にならないように十分気を付けています。

~雑草との戦い~ 次々に生える雑草にどう対処する?

夏の間は、とにかく雑草があっという間に大きくなってしまいます。畑周りは草刈り機で刈りますが、これは雨が降った後に足元が悪く、畑の中に入れないときに行うことが多い作業です。また、休耕している畑はトラクターで定期的に耕耘し、雑草が大きくなりすぎないように気をつけます。トラクターには、キャノピーという屋根がついていて遮光されるので、耕耘作業はお昼前後に行います。朝夕より太陽が真上にくるお昼前近くの方が、身体が屋根の陰になって涼しいのです。作物の畝間の雑草は、除草剤で枯らすこともあります。除草剤はよく晴れていて、作物が乾いている時間帯に撒くと効果が高いので、朝露が乾いた後の8〜9時頃に散布します。作物の周りの雑草は、手で取るしかありません。草取りは早朝や夕方の比較的涼しい時間帯に行います。

~病害虫との闘い~ 夏に発生しやすい病害虫とその対処法

暑く乾燥している夏は虫が多発するので、定期的に薬剤散布が必要です。虫が発生した初期の段階に散布をすることで、畑全体の虫の密度を減らすことができます。その際に、夏に出やすい病気の予防剤も混用して散布します。虫や病気が大発生してから薬剤散布をすると、回数も量も多くなってしまうので、早めに対処するほうが結果的に減農薬になります。

~自然災害との戦い~ 台風の発生に備える

わたしが住んでいる地域は太平洋沿岸部のため、毎年9~10月頃に大型台風がたびたび接近します。そのため、台風はくるものだと思って常に備えています。例えば、育苗用のハウスは、建てるときに通常の工法より筋交いをかなり多く入れて、強風に耐えられるようにしています。また、エビイモの周りには、ソルゴーという背の高い緑肥を植えて、防風対策を行っています。強風で葉っぱが飛んでしまうと、その後の芋の生育が遅くなってしまうからです。白ネギはいくら対策をしても、風速15m以上になると倒れてしまうので、近年は定植時期を遅らせました。ネギの太さが鉛筆より細い時期は、倒れても自力で起き上がるからです。それ以上に大きくなったネギが倒れると、一本一本手で起こしてあげないと曲がったネギになってしまいます。以前は、今より早い時期にネギを植えていたので、毎年のように台風前に慌てて土寄せをしたり、台風後に倒れたネギを起こしたりしていましたが、作型を変えてからは無駄な作業をしなくてすむようになりました。

8~10月に農家がやっていること② 秋~冬の収獲に備える

ここまで、暑さや自然災害との戦いについて述べてきましたが、これらの作業はすべて暑い夏を乗り切り、秋~冬にかけて無事収獲を迎えるための準備のために行っていることです。しかし、高温多湿を好むエビイモと、冷涼乾燥を好む白ネギでは管理方法が異なるので、ここからは具体的にそれぞれの作業についてご紹介します。

夏のエビイモの管理作業

梅雨が明けて暑くなると、エビイモはグングン大きくなります。その成長を助けてやるために、次のような管理作業をしています。

葉・芽かき作業

エビイモは、中心の親芋から出た脇芽を大きくした子芋を収穫・出荷します。茎の根元の土に隠れている部分が芋になるのですが、子芋を大きくするには手をかけてやる必要があります。まず、子芋の芽が綺麗に出揃うよう、親芋の外葉を手で剥がす「葉かき」と呼ばれる作業を、株の成長に合わせて繰り返し行います。そして、余分な脇芽を取り除いて、最終的に1株に5~6個の子芋を残し、大きく育てるための「芽かき」という作業を行います。これは機械化できない複雑な作業なので、1株1株手作業です。うちでは約1500株のエビイモを育てているため、すべての株の葉・芽かきを終えるには何日も要します。

追肥・土寄せ

葉・芽かきが終わったエビイモには追肥をし、芋が大きくなるスペースを作るために、土をかけてやります。機械で畝間の土を飛ばすのですが、芋と芋の間にしっかり土を入れてやるために、仕上げは1株1株手でギュッと土を押さえていきます。

水遣り

水が大好きなエビイモには、真夏の雨が降らない時期には2日に一度、夕方に30分程度水をかけています。そのため、梅雨が明けるとエビイモ畑に潅水チューブを張り巡らし、井戸水をポンプアップしています。しかし、1台の小さいポンプから、畑全体にいっぺんに水を行きわたらせるには馬力が足りないので、畑を4つのブロックに区切って1/4の面積毎に水をかけます。なので、ポンプを2時間続けて作動させて水遣りをすることになります。

食味、残留農薬検査・収獲開始

9月に入ると水をかけるのはやめて、今度は芋の葉っぱが自然に枯れるのを1ヶ月程度待ちます。葉の養分が根元の芋におりていき、芋が熟すのです。我が家のエビイモは地元JAに出荷しているので、JAで十分に芋が熟しているかどうか食味(しょくみ)検査を受けます。それと同時に残留農薬の検査もしてもらい、両方合格するとはれて出荷掘り取り開始です。掘り取ったエビイモは、虫の食害や病気がないかひとつひとつ確認しながら、茎と尻部を切り落とします。また、形や大きさにも規定があるので、規格外のものを選別して出荷します。厳しい出荷基準を設けることは、市場の信頼を得られ、価格や出荷量の安定につながるため、生産者にもメリットとなっています。

夏の白ネギの管理作業

暑さの苦手な白ネギは、エビイモとは対照的に夏の間はなるべく動かさないようにします。この時期に無理に大きくしようとして肥料過多にすると、ネギが腐ってしまいます。梅雨明け後に苗を定植した後は、草取りと定期的な薬剤散布を続けます。そして、夜温が20度を下回るようになる9月中旬頃から少しずつ肥料を入れて、土を寄せていきます。

まとめ

以上、白ネギとエビイモを栽培している農家が、8~10月に行っている主な農作業についてお伝えしました。実は、わたしにとって夏は一番嫌いな季節です。暑ささえなければ楽しい農作業なのですが、ここを乗り越えないと収獲に至らないので、なるべく暑さを避けてどうにか過ごしています。しかし、この時期が過ぎれば、晩秋~冬にかけていよいよ収獲最盛期を迎えます。それを楽しみに、今年の夏も乗り切りたいと思います。

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