【田植機 その現在・過去・未来】そして、田植機は中古がお得なワケ。

公開日: : 最終更新日:2019/09/10 農機情報, 田植機

日本の稲作における農作業を画期的にラクにしたヒーローが“田植え機”ではないでしょうか。今回は、この“田植え機”の歴史を振り返りつつ、最近変わってきた栽培法などを含め、“田植え機”の移り変わりをご説明したいと思います。

概要

日本列島に稲作が伝来した大昔は、直接、田に種籾(たねもみ)を捲く直播(じかまき)栽培でしたが、苗代に種籾を蒔いて、育った苗を本田に移し植える移植栽培の田植えが昔も今でも一般的です。

昔の田植えは大変な重労働。家族だけの労働力で足りない時は、親戚や近隣の人たちが助け合って田に苗を植えていました。

この田植え作業の負担を画期的に軽くする“田植機”が普及したのは1970年代。稲作の栽培工程のなかで、もっとも機械化が遅れていたのが田植え作業でした。

田植機には、“歩行型”と“乗用型”があり、歩行型の基本動作は、植え付け爪によって苗をつかみ、土にさし込むタイプが主流。エンジンと車輪があり、前進しながら後部の植え付けアームで苗を植えてく方式。乗用型はロータリー式で、回転運動をする複数の植え付け爪によって植え付けていきます。

最近、見られるのが「側条施肥」機構の付いた田植機。苗を植えると同時に肥料を撒くことができ、さらなる作業時間の短縮が可能です。

田植機は、長方形の育苗箱(いくびょうばこ)で発芽したマット状の苗を植えるタイプと、プラスティック製のポットで育った苗を植えるタイプがありますが、マット苗対応の田植機が一般的になっています。

1. 田植機の歴史

~田植機 開発の創生期~

日本の田植機は、明治時代から研究が始まりました。ただ、研究開発が本格化したのが1950年代、60年代後半にいまのようなカタチの田植機が登場し、全国に普及したのが70年代からです。

1964年、マメトラ農機は“ティーラー”という耕うん機と同じような機能をもつ機械に装着する田植機を開発。これが最初の本格的な田植機とされています。

その後、石川島芝浦機械などいくつかのメーカーが製品化しますが、苗取りに時間が費やされるので、田植え作業の効率はそれほど上がりませんでした。

その問題を解決したのが、苗を育てる技術の発達と育苗箱の登場です。1950年代後半には、30cm×60cm×3cmという現在のマット苗用と同じ大きさの育苗箱が開発されました。

この育苗箱に仕切りを入れて帯状の苗を育て、帯状苗を植える人力1条用田植機が1962年に農研工業より発売され、その後、育苗箱のすべての苗を連続したヒモ状になった苗を植え付ける田植機が登場。

1969年になると、現在のマット苗用の田植機とほぼ同じ基本構造をもつ田植機が出現します。以降、各メーカーがこぞって、苗の横送り機構と強制植え付け機構と連動したこの方式を採用することになります。

同じ頃、ポット苗用の田植機も発表され、田植え機が加速度的に進化することになり、株間や植え付ける深さ、1株本数の調整方式が確立されるなど、細部にわたる改良が加えられ、性能・安全性・機能性が向上していきます。

 

~乗用田植機の登場~

乗用田植機の製品化が始まったのは1970年代中頃から。タイプはフロントマウント型の田植え専用機と、リアマウント型のトラクター装着機および田植え専用機があり、4状から12状植えが市販されました。

1980年代にかけての乗用田植機はほとんどが田植え専用機です。専用機であるため機能性を集中的に向上させることができたため、使い勝手が良くなり、作業者への負担が軽減されています。

また、モニター機能の充実、苗送り機構や植え付け深さの制御機構が改善されたのもこの頃です。

1980年後半から1990年にかけては、乗用田植機は高速時代に入ります。その高速化を牽引したのが“回転(ロータリー)式植え付け機構”です。

1986年、“回転式植え付け機構”を採用した高速乗用田植機を井関農機が発売するやいなや、クボタ、三菱、ヤンマーなどのメーカーが追従することになります。

乗用田植機の最高作業速度は、これまで歩行型とほぼ同じでしたが、この頃の乗用型は歩行型の1.5倍にスピードアップしたのです。

高速化した乗用田植機は、主要部分の制御機能などの抜本的な改良が加えられ、植え付け精度が数段に向上。各種調整機構も充実して、完成度を高めています。

一方、歩行型は乗用型の台頭により位置づけが明確になり、「小回りが利く」「速度よりも確実性」といった歩行型ならではの特長を重視。より軽量化・簡素化を追求するとともに、植え付けの基本性能を重視する方向に進んでいます。

 

2. 田植機の「いま」と「これから」

歩行型田植機は、植える土地の凹凸に対して機体を水平に自動制御するセンサーを搭載するなど、さらに植え付け精度を向上させています。

また、高速技術を手にした乗用型田植機はいま、よりシンプルで軽量化された乗用型と、高性能化・高能率な大型乗用型に2極化するとともに、多様化の時代に移っています。

 

~田植機の多様化~

田植機は、機械化以前にヒトが苗を植えていた田植え方法をなぞるように作業を行う機械でした。

近年、とくにコスト面での有効性から稲作方法が変わりつつあり、それに伴って田植機の機能も変化して、多様化に向かっています。

◆疎植対応田植機◆

疎植(そしょく)とは、疎(まば)らに苗の間隔を大きくとって稲を育てる農法。密植(みっしょく)はその逆で、密(みつ)に苗間を狭くして植えることです。

具体例でいうと、疎植は苗列の間隔を30cmにとり、同じ列に並ぶ苗間を30cmにして、1坪(3.31㎡)あたり37株の苗を植えます。

密植は、苗列の間隔は同じ30cmですが、同じ列に並ぶ苗間は16cm、1坪あたりの苗の数量は70株です。

密植はこれまで行われてきた植え方ですが、最近、疎植がクローズアップされています。

なぜ、疎植が注目され、一般化されつつあるのか?

その理由は、疎植も密植も収穫量がほぼ変わらないからです。

では、なぜ、疎植は株の数が少ないのに、できる籾(もみ)の量が密植と同じなのか?

疎植の場合、株の間隔が大きいので日当たりがよく、風がよく通り、隣どうしの葉や茎が触れ合わないので、分蘖(ぶんけつ)が旺盛になり稲が力強く育つのです。

分蘖とは、地面に近い茎の関節から枝分かれすること。つまり、1本の株からたくさんの枝が出て、その枝に実である籾ができることになります。

なので、疎植は苗の使用量は少なく、田植えの時間も短縮できるのに、収穫量は従来の密植と同じというメリットがあり、近年、苗にかかる費用が半分に抑えられるということで一般化されつつあるのです。

従来の田植機も、調整によって疎植はできますが、疎植のための機能を標準装備した田植機が多くなってきました。

 

◆苗植え・直播(じかまき)併用田植機◆

これまでの一般的な田植えは、別の場所で育った苗を水田に植える方法。このいわゆる移植栽培に対して、水田に直接種を播く栽培方法が直播(じかまき)です。

稲苗を購入すると当然コストがかかります。農家自体で苗代(なえしろ)で苗を育てるにしても、購入するよりコストは削減できても、多くの時間が必要になります。

直播は、直に種籾(たねもみ:稲の種)を捲くワケですから、育苗(いくびょう:苗を育てる)も田植えも省略できるので、低コスト化・省力化が可能です。

直播は、水田の立地や気候によって向き不向きがありますが、最近、場所によってはこの栽培方法を行う稲作農家も増えています。

この直播もできる田植機も発売されていて、水田の条件によって、苗植えと直播を使い分けることが可能です。

ただ、直播の場合、種籾を播いた後、出芽・苗立ちまでの水の管理や鳥害の対策などが必要でした。

そのために開発されたのが種子コーティング技術。

過酸化カルシウムで種をコーティングすると、水中で酸素が発生するので出芽・苗立ちを促進できます。

鉄コーティング法は、鉄の重みを利用した技術です。鉄の重みで籾種が定着しやすくなり、鳥に種を食べられる鳥害の防止もできます。

また、“シードテープ法”という直播法も開発されています。テープに最適な間隔で種籾を入れておき、そのテープを田植機の後部に装着した装置で排出する方法。これは、直播の新しいカタチかもしれません。

 

田植機は日々進化を続けています。田植えしながら同時に肥料を撒く、直播もできるし、雑草が生えたら除草できるなどマルチな活躍をするまでになった田植機。

田植機がGPSによる自動運転で無人で動いている姿が普通に見られるのも、さほど遠い話ではないと思います。

 

さて、田植機はいろいろありますが、購入するなら中古品がおすすめです。

なぜかというと、田植機は中古がお得!

というのも、「中古農機流通実態調査表」という、中古の査定額が書かれた文書を見ると、新品の時から目減りする年数が他の農機に比べるととても短いんです。

たとえば、大型トラクターだと1年落ちは新品価格の55%、10年経つと10%、13年でも5%の価値があります。

ところが、田植機となると、1年で50%、8年で5%、9年経ったものは0%になってしまいます。

ということで、田植機は中古がお買い得なんです。

高品質なのにお買い得な田植機をお望みなら、ノウキナビを一度のぞいてみてください。

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投稿者:uchizono

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