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準絶滅危惧種「ニホンイシガメ」の人工孵化に成功!

ひと昔前であれば、田畑や里山でよくみかけた「ニホンイシガメ」も、今や絶滅の危機にさらされ、貴重な存在となりました。そんななか遭遇したのが、引越しの際に飼えなくなったという知人から譲り受けた、ニホンイシガメの産卵です。数日前からその兆候があったのですが、ある朝気がついたらプランターに卵を産んでいました。

今回は、数年前に挑戦した人工孵化の話とともに、なぜ日本でニホンイシガメが減少してしまったのか、という点についてもふれてみたいと思います。

目次

貴重な日本固有種が年々減少傾向に

まずはニホンイシガメの現状について、簡単にご紹介いたします。

現在、環境省のレッドリストで準絶滅危惧種に指定されている「ニホンイシガメ」は、日本固有種として知られ、本州から四国、九州まで広域にわたって分布しています。実家があるとある田舎町でも、近所のおばあちゃんによると、昔はよく農作業中にあちらこちらで見かけたといいます。しかしよくよく話を聞いてみれば、地元のとりわけお年寄りにとって、ニホンイシガメなどはあまりにも当たり前の存在だったため、興味もなければ気にかけることもなかった、というのが本当のところかもしれません。

それほど身近な生き物であったニホンイシガメですが、なぜそこまで減少してしまったのでしょうか。大きな要因として3点挙げられます。

  • 生息地の減少

川や湖、池や沼地、湿原など、水辺で埋め立て工事や護岸工事が行われ、生息地が減少したため。

  • 外敵の増加

ミシシッピアカミミガメやクサガメ、アライグマなど外来生物の増加に伴い、住処を奪われたり捕食されたりしたため。

  • 乱獲

年々減少傾向にあることからペットとしての価値が高まり、販売目的で採取されてしまったため。

以上のように、一見平和でのどかな田園や里山であっても、災害に備えた工事が進み、さらには外来生物の侵入や人の手で捕獲されてしまうこともあるのです。ニホンイシガメにとって、もはや日本の自然界は決して暮らしやすい環境とはいえません。

だからというわけではありませんが、せっかく生まれてきた大切な命。そのまま放置するには忍びなく、人工孵化に挑戦することにしました。

産卵に役立った使用済みプランター

産卵場所となったのは、土を入れたまま放置されていたプランターです。数日前から食欲が落ち周囲を徘徊するなど、その兆候がみられました。もしもに備え、あらかじめ本やインターネットで調べて準備をしておいたことから、当日は慌てずに対処することができました。

カメの産卵はとてもシンプルで、自ら掘った穴に卵を産んだ後、土をかぶせて終了です。卵を触らないよう、表面が見えるところまで静かに土を掘り起こし、まずは鉛筆で×印を入れました。これは、以降の作業を全て、この×印を上にして行うための目印です。卵の上下をひっくり返してしまうと卵黄の重さで胚が潰れてしまうそうなので、注意しなければいけません。その後、水道で軽く洗って汚れを落とし、そっと容器へおさめました。

簡易な装置で人工孵化に挑戦

卵を入れておく容器は、とても簡単なものです。園芸店などで売られている水苔に、たっぷりの水を含ませたものをタッパーに敷き詰め、殻の半分が隠れるように卵を並べます。そして5mmほど水をはったアクリル水槽にタッパーを入れ、蓋をして終了。タッパーと水槽、2重の収容になったわけですが、これで適度な加湿状態がキープされます。あとは温度管理をして孵化を待つのみとなりました。

ところで、卵を容器に入れてから一つ重要なチェックがあります。カメは無精卵も産むので、この確認は必須なのですが、タッパーへ入れて約1日後に卵の中央にうっすらとバンド状の帯が出現したら有精卵の証拠です。そんな帯が見られるのか半信半疑でしたが、本当に現れました。我が家の卵8個は全て有精卵だったのです。命の神秘を目の当たりにした瞬間でした。

温度によって決まるオスとメスの性別

ニホンイシガメの孵化は、産卵からおよそ2ヶ月後。約60日あるそのちょうど中間期の20日間は、性決定に関わる温度感受期とされ、その期間が29.5℃より高いとメスに、低いとオスになるといわれています。我が家では、あまり高温にするのは心配だったため28℃に設定しました。それからは特別に手を加えることもなく、放置した状態で時々様子をみるだけです。

そして、7月21日の産卵からおよそ2ヶ月たった9月17日のこと。卵の表面にヒビが生じ、小ガメが誕生したのです。殻から自力で這い出し、すぐに水苔へと潜ってしまったものの、無事に孵化の成功となりました。

最後に…。外来種=悪者ではない!?

カメの一生は、30年とも40年ともいわれます。

かつては縁日で売られ子どもたちにも人気を博した、ミシシッピアカミミガメ(通称ミドリガメ)やクサガメなどの外来種。寿命の長さも災いしてか、飼育の途中で川や池に逃してしまったという人もいたかもしれません。しかし、それから年月をかけ増加した彼らは、国内の生態系に大きな影響を及ぼすこととなりました。日本固有種であるニホンイシガメが減少した要因の一つでもあります。

けれどもここで、外来種=悪者と安易に決めつけてしまうのは、少し違うように思います。なぜなら、海外からの輸入も野外へ放ったのも、我々人間の都合によるものだからです。これはカメに限ったことではありませんが、ペットとして家族になったのなら、最後まできちんと飼育をする。私たちにはその責任があります。

古くより日本に生息してきた動植物が、これ以上減少したり絶滅したりすることがないよう。そのためには、我々一人ひとりの心がけが大切です。自然環境への配慮は、誰でも簡単に取り組むことができる、身近な暮らしのなかにあるのです。

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