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農学部出身の僕が「農薬は必要」と教わった理由

ツチカウ編集部の山本です。少し個人的な話をしますが、私はとある大学の農学部出身です。農学といっても全員が農業を志すわけではなく、バイオテクノロジーや環境問題、獣医師免許などを目的に通う人など様々でした。

そんな私が大学時代に教授(いろいろな教授がいました…)から講義で教わり、今でも印象に残っている主張の一つが「農薬はなくすことができない(農薬は必要)!」という論旨でした。

細かいことは忘れている部分もありますが、改めてインターネットを中心に学び直し整理してみましたので、ご参考にしてみてください。案外「農薬」について誤解していることも多いかもしれませんよ?

農作物はそもそも「自然」ではない?!

農薬=悪の権化みたいなイメージを元に、無農薬が良い、有機農業・オーガニックが良い、などと頭ごなしに信じている人はいませんか?実はそれ、広告や宣伝などを通じて「作られた」イメージかもしれません。

自然がいいに決まってる!化学物質なんか投入せず、田んぼや畑で農作物が自然に育った姿がいちばんいいに決まってるじゃないか!

そう主張する方もいらっしゃるかもしれません。
でも考えてみてください。自然な状態ってどういう状態でしょうか。

実は、農耕地の生態系というのは自然な姿とは全く違います。
農作物という単一植物を、集約的に栽培しているのが、農耕地です。自然の移り変わりなどを起こさせないように人が管理している状態です。

また、栽培する農作物も、自然の生息環境ではおおよそ生きながらえないものが多いです。収量が多く、栄養があって美味しい品種をあえて栽培するので自然淘汰などが起こりません。

私たちは、極めて「不自然」な植物を食料にして生きています。そのような状態は害虫や雑草(自然淘汰の結果生き残った強者たちです)に容易に侵食されうる極めて弱い生態系の姿です。農薬なしでの防除には多大な労力が必要になります。

農薬を使わなかったらどうなる?

上のグラフは、もし農薬を使わなかったら、病害虫や雑草によってどれだけ作物の収量が減るか(減収率)を作物ごとに表したものです。

ほとんどの作物がこれらの外敵の存在によって3割以上減収となってしまいます。もも、りんごといった果実類に至っては実に7割〜9割以上が「収穫できない」という恐ろしい状態になってしまいます。(その結果、農産物の値段がどうなってしまうかは想像の通りです…)

安くて品質の良い食材を食べたい。それを叶えるために農薬が必要とされてきた現実がここにあります。

じゃあ農薬は安全だとでも言うの?!

そんな声も聞こえてきそうです。

病害虫や雑草を最小労力で退治するために必要なのが農薬。だとすればいわゆる「残留農薬」として残る危険な物質の量を充分に少なくコントロールする、食の安全リスクをきちんと管理(マネジメント)するという視点に立つことが必要です。

実は農薬に関する安全性の検査は非常に厳しい基準で行われています。
残留農薬として知られる「残留基準」に関しては、ADI(一日摂取許容量)という規程の値を超えることがないよう管理されています。ちなみにADIとは、「ヒトが毎日、一生涯摂取し続けても安全な量」のことです。

2002年度の調査では、食品中の残留農薬1日摂取量は、21種類の農薬についてADIの0.04〜1.69%しか含まれていなかったそうです。これだけ少ない状態に管理されているということは、基本的に健康への影響は実質ないに等しいと言って良いでしょう。(日本の場合です)

結論:農薬は必要!

よほど無農薬にこだわった(ということを売り文句にした手間暇のかかるお高い)商品として売り出さない限り、基本的に農耕において「農薬」「化学肥料」は必要不可欠なツールであると言ってよいでしょう。

食の安全意識も高く、世界一の長寿国である日本ですから、当然農業に携わる生産者の方々にも農薬や肥料に関するリテラシーが根付いています。
よく言われることですが、安全と安心は別物。安心という主観的な基準に従うだけでは時として事の本質を見失う可能性もあります。客観的に証明された「安全」をきちんと認識した上で、健康に良い野菜や果物、穀物などを摂取していきたいですね。

(参考資料)
「農薬はどうして必要?」(厚生労働省)
「日本の農薬の現状と問題点」(日本技術士会)
「農薬は本当に必要?」(農薬工業会)

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